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銀座おとな塾レポート



銀座おとな塾 6 京町屋の暮らしと京のおばんざい


日 時:9月12日(日)13時~15時
講座内容:第6回 「京町屋の暮らしと京のおばんざい」
      *ひじきの炊いたん + 一保堂茶舗の京番茶(冷)
講師:料理研究家 杉本節子 →  公式サイト  京都杉本家 杉本節子の京町屋だいどこ日記


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「京都のこころを銀座で学ぶ」の第6回目ビックリマーク

今回は料理研究家の杉本節子先生によるお話でした。 

前回から2週間しかたっていないので、あっという間に今回が来た気分でした。 

——————————————-       はじめに       ——————————————-   

まずは和の学校の吉田さんによる和の学校の説明と講師のご紹介。   

講師の杉本先生と和の学校の関係は深く、過去に何度も和の学校の講師として出ていただいているとのことでした。
先生は、料理研究家であると同時に、財団法人奈良屋記念杉本家保存会の事務局長でもあるため、話の引き出しが多く、毎回様々な角度からお話をしてくださいます。
私も以前、京都で先生の講義を伺ったことがありましたが、その時は町屋の構造のお話が中心でした。 

吉田さんと杉本先生はもともと、第3回の講師をしてくださった吉岡先生のご紹介で知り合いになったそうですが、会ってすぐに意気投合したそうです。
今回も同じような着物姿で、まるで姉妹のようでした。 

 

——————————————- 第一部:杉本先生による講座 ——————————————-   

杉本先生の講座風景です。

 

【京町屋、杉本家の話】
まず、京町屋の暮らしぶりについてのお話がありました。 

杉本先生の家は江戸時代に創業した元京呉服商家。 
実際の家のスライドを見ながら、京町屋とはどんなものか説明をしてくださいました。

例えば「犬矢来(いぬやらい)」は、名前のとおり、犬が近くに寄らないためという意味のほかに、商家の商談をする場所にも面しているため、人も寄れないようにする意味もあったそうです。

【『歳中覚』のこと】
杉本家には、『歳中覚(さいちゅうおぼえ)』と呼ばれる、先祖が代々綴ってきた暮らしの備忘録が今に残されています。
そこにはハレの行事の室礼・献立から、ケの日(普段の日)の献立まで、日々の暮らしを万時おこたりなく過ごせるように、暮らしと食のならわしが記されているそうです。 

江戸時代に書き始められ、代々伝えられてきた帳面から、京商家の質素倹約につとめた江戸期の商家の暮らしぶり、食生活を知ることができます。 

杉本先生は、その『歳中覚』の内容の一部を公開して、江戸時代の京商家の暮らしのあり方をひもといてくださいました。 
今回は、ハレの日の献立ではなく、ケ(普段)の日の献立に焦点をあててお話くださいました。

【普段の日の食事 「一汁一菜=一膳三器」と「お決まり料理」】
献立の内容は、町家すべてに共通しているものではないそうです。
商いの種類、信仰の違いなどによって、家各々で食のならわしは異なっているもので、以下の話もあくまで杉本家では、という前提でのお話でした。 

商家では、
基本(年中平生)は、
朝と夕は茶漬と香物
昼は一汁一菜 
だったそうです。

たとえ正月でも、昼は特別なお重であっても、朝夕は茶漬だったそうです。

そして「お決まり料理」という、決まった日に決まった食べ物を食べるという習慣があります。
月の何日には何を食べるかの献立をあらかじめ決めてしまうことで、合理的に食事の支度ができるとのこと。

そういえば、同じことかどうかわかりませんが、私が京都の裏千家学園に行っている時に、毎月1日には「おついたち」といって献立で必ずうどんが出ていました。

杉本家の「お決まり料理」は
 毎月13日 汁 内味噌(自家製味噌 小豆 小芋 焼とうふ)
 毎月21日 茶めし 汁 とうふ(夏場はとうふの変りになすび泥亀煮)
などとされていたそうです。
冬場の豆腐から夏場はなすびの料理にするという風に旬の食材を取り入れる工夫もされているのが面白かったです。

【江戸と京都の食文化の違い】
天保8年(1837年)から30年間かけて、喜田川守貞によって書きあげられた近世風俗史の『守貞謾稿』という文献に、
「江戸では朝に御飯を炊くのに対し、京都では昼に御飯を炊く」
と書いてあります。
京都の人々にとって、朝ご飯の飯は前の日の昼に炊いたものなので冷たい。
ゆえに茶漬けにしたり、茶粥にしたりして食べる。
江戸では朝に炊くので粥を食べない。
粥と言えば病気の時に食べるくらいのもので、どちらかというと雑炊のほうが普段はよく食べる。
一方京都では雑炊を食べる人は稀だ、との記述がありました。 

なるほど、私は江戸(東京)育ちですが、確かに粥よりは雑炊の方が普通に食べます。
(私は御飯はもっぱら夕食時に炊いていますが…。)
朝に粥というのも馴染みはなく、京都に来て宿に泊まってはじめて朝食に「茶粥」を食べました。 

京都では茶粥や茶漬けがとてもよく食されている理由がそんなところにあったのだと初めて知り、なるほどと思いました。 

【ひじき?あらめ?】
江戸と京都の違いの話として、もうひとつ、ひじきとあらめの話もしてくださいました。
ひじきはもともと関西ではあまり使われず、「荒布(あらめ)」という、海藻の葉の部分を刻み乾燥させたものの方が一般的だったそうです。 

これがあらめ。 

 

あらめ、初めて知りました。 

【おばんざいという言葉】
「おばんざい」といえば、京都では普段のおかずという意味で昔から使われているものだと思っていたのですが、杉本家では「おばんざい」という言葉は使っていなかったそうです。
『歳中覚』にもおばんざいという言葉の記載は無い。
その代わりに「おまわり」「おかず」という言われ方をしていたとのこと。 

杉本先生は、「おばんざい」も「ひじき」も本来の京都ではないのだけれども、もう十分普及しているからとのことで、今では普通に使用しているそうです。 

——————————————-   第二部:ほっこりタイム   ——————————————- 
講座の後には毎回恒例の「ほっこりタイム」。
楽しいおやつと質疑応答の時間です。
今回のほっこりタイムでは、いつもの一保堂茶舗の冷たい京番茶と、杉本先生がその場で手作りしてくださったおばんざい「ひじきの炊いたん」でした。  

今回は鍋を使わずに電子レンジで作れるおばんざいを教えてくださいました。
京商家のほんまの「ひじきの炊いたん」は、ニンジンなどは加えず、ひじきとお揚げのみのシンプルなものだそうで、見た目は地味ですが、贅沢しすぎず、質素倹約のおばんざいらしい一品です。 

作りやすい分量としては、
 ひじき(乾燥) 10g
 お揚げ 40g
 かつお節 3g(市販の小袋ひとつ)
 砂糖 小さじ1
 しょうゆ 小さじ2
 塩 少々
だそうです。 

ポイントは
・ひじきを水にもどしすぎないこと(10分くらいでいい)
・ざるにあげて水気をよくきる
・お揚げはひじきと同じサイズに切るといい
・耐熱容器にかつお節以外を入れて600wで30秒、かきまぜて20秒加熱
・かつお節も600wで10秒加熱することで、パリっとして和えやすくなる。最後に手でもみながら加える

こちらが水に入れる前のひじき。

 

できあがったものがこちら。 

 

味が優しくついていて、とてもおいしかったです。 

今回は上に彩りとして枝豆をのせていました。

講座の最後には、先生が本にサインしてくださるとのことで、たくさんの方々が本を買っていました。 

 

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来月の講座は10/9(土) 「和の心を食べる~京菓子の中に広がる美と文化」(末富主人 山口富蔵)です。
次回でいったんこの「京都のこころを銀座で学ぶ」シリーズは最終回になります。
また楽しくてためになるお話をレポートできればと思います。

( 2010/09/14 0:19 am )